象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

こんな映画は見たくなかった〜「バリケード-閉ざされた山荘」(2012)に思う

  

 典型の低予算型B級ホラーものだが、見終わって色々と考える事もあった。

 生前、妻が行きたがってた別荘がある。
 実は、その1年前に仕事が忙しいというだけの理由で夫は断っていたが、愛する妻が不可解な事故で急死し、深く後悔したテランスは子供2人を連れて、その山荘へと向かう。その途中で、別荘の管理をする保安官(ハウズ)の店に立ち寄るも、彼は風邪気味で咳き込んでいた。

 この風邪こそが最悪(ケチ)の始まりとなるが、ハウズから山荘の鍵をもらい車を走らせるも、途中で狼を撥ねてしまう。嫌な予感のしたテランスだが、別荘に着いた頃は夜も遅く、風邪と寒さの為か咳き込み始める。
 気を取り直し、山荘では囁かなクリスマスパーティを開き、何とか2人を寝かしつけたテランスだが、妻の事を回想し涙に暮れる。愛妻を失った悲しみからは、完全に抜け出してはいなかったのだろう。喪失が幻覚を生むとは、テランスも想像だにしなかった。

 翌朝になると外は大雪で、娘のシンシアが”屋根裏部屋に何かいる”と言い出し、息子ジェイクは”外に何かいる”と叫ぶ。やがて雪がやみ、3人は外で遊び始めるも、倉庫の中に隠れてたジェイクが咳き込み始める。テランスは病院へ行こうとするが、車は雪で埋もれ動かせないし、仕方なく山荘に籠もるも大雪の為に携帯も固定電話も繋がらない。
 途方に暮れてるとハウズがやって来て、何とか助かったテランスだが、彼は何者かに引き込まれる。その後、山荘の外から唸り声が、屋根裏部屋からは激しい物音が響く。
 妻の急死により精神が不安定になり、警戒心が強くなっていたテランスは、内側からハンマーとクギを使ってバリケードを作る。

 テランスは動揺する子供らを何とか寝かしつけ、一人アルコールを飲みウトウトするも、ふと気づくと子供らはいない。2人を探すテランスだが、外を誰かに連れられて歩くシンシアを見つけ、追いかけるとシンシアの墓がある。大雪の中、必死に墓を掘り返すテランスだが、そこにはシンシアはいない。その後、山荘に戻ると、2人は高熱を出して寝ているではないか・・・
 すっかり動揺したテランスは、ハウズの車を盗み、2人を乗せて”呪われた”山荘を去ろうとするも、雪道でスリップし、スタックした為に仕方なく山荘に戻る。疲れて寝込んでしまったテランスだが、目が覚めると、2人は眠ったままで起こそうとするもビクともしない。
 再び彼は、妻の死んだ日の事を回想するが、妻はキッチンでじゃれていた時に滑って転倒し、後頭部を強打して呆気なく死んだのだった。それ以来、何か不吉な事がある度に、彼は妻の事を思い出す様になっていた。

 その後、幻覚に苛まれるテランスは、氷水の入った浴槽にジェイクがいるのを見つけ、屋根裏部屋には拘束されたハウズがいる。
 テランスが外を見ると、青空が広がっていた。幻覚から何とか冷静さを取り戻した彼は、山荘で起こった一部始終を思い起す。
 まず別荘に着くなり、2人の子供が高熱を出し、これまで子育てを妻に全て任せてた為に、要領を得ないテランスだが、熱を冷やす為に浴槽に氷水を張り、嫌がるジェイクを入れる。その後、シンシアが(ぬいぐるみの)切り裂きジャックが死んだと言うので墓を作ってあげた。
 やがて、熱の下がらない2人に精神的に不安定になったテランスは、酒と一緒に精神安定剤を大量に飲み始める。この薬と酒、さらに風邪による高熱が絡み、深刻な幻覚状態に陥っていたのだ。そこへ(運悪く)訪ねてきたハウズに”お前のせいだ”と怒り、彼を屋根裏部屋に監禁する。
 その後、2人は無事回復し、テランスが帰り支度をしていると、警官がやって来て、屋根裏部屋から3日間行方不明だったハウズを救出。警官はテランスを逮捕しに向かい、一方で子供2人とハウズを救急車に乗せる。
 ハウズは”あの野郎!熱のせいでかなりイカレていた”と話す所で、幕が下りる。


最後に

 結局は妻の急死により、精神がイカれちまった男の奇悲劇だが、私にも思い当たる節(フシ)がある。
 小さい頃に最愛の親父を亡くした事で、被害者意識と喪失感で苛まれた時期が長く続いた。今でも、その後遺症は幾らかは続いてる訳だが、この映画を見てて、とても他人事と思えない自分がいたのも事実である。
 ある日突然、大切なものを失うと、人は精神的に自律的なコントロールを失う。宇宙船みたいに自動制御できればいいが、人間の精神は一度壊れると、自動的には回復しない。
 つまり、新たな出会いや発見に恵まれ、新たな自分を見出す、いや創り出す必要がある。この映画に登場するテランスも、こうした奇怪な経験や奇妙な出会いを積み重ねる事で、新たな自分を見出すのであろうか・・
 でも、こんな事で家族の絆が強まれば、万々歳なのだが・・

 見終わっても、色々と考える事のあった不思議と充実した78分の凡作でもあった。