
”何となく体に良さそう”というイメージで食品やサプリを摂取しても効果は薄いどころか下手をしたら害にすらなる。”カラダに入れるものは薬でも健康食品でもまず論文で調べてみよう”と語る東大病院医師が解説する驚きの事実とは?
「ヨーグルト万能説のウソ」でも登場した、稲島司氏に再登場してもらいます。
学歴は嘘をつかない?
私はとても嫌な癖があり、翻訳と論文とコラムに関しては、学歴で判断する所がある。
確かに、高い学歴を誇る人種は、”絶対”とか”ダメ”だとか、極端な専門用語とか批判論法とか、難しい抽象的な日本語を使わない様な気がする。
私にないものを全て有してるから憧れもあるが、彼らが言ってる事は全てが正しいという訳でもないが、致命的な欠点やハズレが少ない様に思える。
昨今のSNSには、様々なデモや中傷論や欺瞞で溢れかえってる。そういう私のブログも、どうしても極論や脚色に傾いてしまう。
いけないとは解っていながら、主観と直感に頼ってしまう。だから、論文やコラムを読む時は、その内容よりも先ず最初に学歴を見る。陰謀説やデマに振り回されない最短距離は学歴という信用なのだ。
医者であろうが法律家であろうが、裁判官であろうが学者であろうが、そんなものは自作ヨーグルト同様にいくらでも作れる(笑)。しかし高度な学歴は、ヨーグルトみたいに簡単には作れない。しっかりとした一貫した基本的な教育と継続した粘り強い勉学が必要なのだ。
一方で、知能の高い人間は探せば何処かにいる。しかし、高度な教育を受け、しっかりとした知識が備わってるかは、全くの別問題である。
但し、今ではカネの力で高度な学歴も医師の免許も手に入れる事が可能だから、昔ほどに学歴が有効だとは思えないが。それでも学歴に見合った資質を有してるかは、文面を見ればだいたい判る。
そこで今日は、”聞こえの良い健康食品のウソとホント”に関して書きたいと思います。
これら健康にいいとされる物質は追加で摂取しても利益がある事が証明されていないものばかりで、むしろ有害と言えるものもある。それらよりごく普通の食事の方が有り難い事が分かってる。
以下、「βカロチンで肺がんが増える」から纏めました。
データは嘘をつかない
稲島医師は論文を読むのを日課にし、医学情報のみならず、サプリメントや食品に至るまで、あらゆるデータに精通している。彼は”なぜビジネスや投資では現場などで一次情報を拾いデータを元に判断するのに、自分のカラダに関してはそうしないのか”と訴える。
コーヒーは体に悪そうだからトマトジュースに切り替えたという人も多いと思うが、コーヒーは飲んだ方が良いというデータもある。2014年のデータだが、コーヒーの摂取量と糖尿病発症率を調べた28の調査を纏めたもので、100万人以上の調査結果が含まれている。
これから解る事は、コーヒーを沢山飲むほど糖尿病の発症率が下がる事だ。毎日10杯以上飲むと発症率が60%にまで低くなる。但し、1日10杯とはかなりの量で、3~5杯くらいが最も効果的という結果が出た論文もある。因みに、コーヒーを飲む人では死亡率が低かったという発表もある。
でもなぜ、コーヒーを飲むと糖尿病になり難いのか?は解ってはいない。それを解明するのが医者の使命だが、この”解らない”こそが重要で、何も考えずにコーヒーを飲めばいいという事だ。
経営者などの取材では、”現場では数字が大事でデータで判断”などとされますが、これは健康や病気でも同じで、一次情報(原著論文)にまで遡り、証明された数字を探す。でなくともせめて出典を明記したニュースなりサイトを信用すべきです。それにこういったものは統計的に判断すべきで、”絶対”とか”だけ”とか言い切るコメントは論外です。
エビデンスには意味がある
次に、食物繊維を摂る量と脳卒中の発症率を解析したもの(2013年)ですが、食物繊維が多いほど脳卒中が少ない。
食物繊維は摂り過ぎると弛緩型の便秘にはよくないとされるが、沢山摂れば脳卒中は少なくなる様だ。
”美味しいから”という理由で食べる事も大事なので、エビデンス(科学的根拠)にばかり縛られる必要はない。しかし、エビデンスを参考にする事には意味がある。
たとえば、ビタミン・ミネラル・ポリフェノール・酵素などの健康にとってとても聞こえの良い物質は、追加で摂取してもヒトに対して利益がある事はまだ証明されてないものばかりで、有害とまで結果が出たものもある。それらより、食物繊維など普通の食事の方が有り難いという事が判る。
一時期もてはやされたβカロテンですが、肺がんの発症率を調べた論文(2008)では、βカロテンは肺がんを減らすと期待されてたが、臨床研究の結果をまとめると定期的にβカロテンを摂取していた喫煙者は肺がんになる可能性が高まる事を意味してる。
これは、食物の中の”健康に良さそうな成分”を抽出しても有効だったと言えない場合です。逆に、何らかの成分を抜いてもメリットが減る可能性があるのではないか。
カラダに良いとか悪いとかいう物質は次から次に出てきますが、実際に自分のカラダで試してしまう前にデータを見る。またはデータを元に論じている文書を読む事をお勧めする。
以上、DIAMONDOnlineからでした。
最後に〜健康を食べる
数学の単純な証明においても徹底した解析は必要ですが、それと同様に食品に関しても、徹底した論証は必要です。
勿論、美味しく食べるという事は食の基本ですし、不味い食はどんなに身体によくても長続きしない。美味しくて体にいいのが理想ですが、そんな食材が沢山ある訳でもない。
事実、美味しく感じるものほど、ご馳走に見えるものほど身体には悪い。
特に、欧米から入ってきた洋食は、身体に良いとはお世辞にも言えない。しかし日本人は無差別にそれらを取り入れ、食に贅沢と娯楽を追い求めてきた。
同じ様に今では、健康食品に贅沢を求めてるような気がする。どんな高価なサプリもイメージだけで判断し、派手に陳列する専門用語に魅せられ、無差別に購入する。効いてるか効いてないかの客観的な考察もなく、”これは良さそう”とSNSで派手に配信する。
こうした不特定多数のインフルエンサーの存在が悪しき?健康ブームを作り上げたのだとしたら?そこには何ら根拠すらなかったとしたら?
「たかが便秘」でも書いたが、自作ヨーグルトがブームだからとて、健康にいいとは限らない。いや最悪、健康に甚大な被害を及ぼすかも知れない。
免疫をアップするとか?風邪の予防になるとか?明確なエビデンスもないのに、ネット上の宣伝ばかりが独り歩きし、拡散する。
健康食品マニアには悪いが、日常的に摂取する慢性的な食品である以上、口にした時の高揚感を楽しむ為の”嗜好品”には変わりはない。いや、ひょっとしたら”観賞用”として楽しんでるだけかも知れない。
ただ、高揚感を楽しむ為とは言っても、薬物やタバコの様に身体に明確な悪害をもたらすものは論外だが。健康食品そのものが悪害をもたらすとすれば、それこそが健康ブームのパラドクスなのかも知れない。
つまり、人間はバカ正直な生き物だ。
どんな食べ物でも、身体に合えば延々と食べ続け、どんなに美味しくとも合わなければ口にする事はないだろう。
”健康を食べる”とは、ただそれだけの事のような気がする。