久しぶりに日本の映画を見て、ジンワリと感動した。”タイタニック”には悪いが、100万倍良かった。ディカプリオには悪いが、阿部寛の方が100万倍いい男だった。ケイトウィンスレットには悪いが、松嶋菜々子の方が100万倍美人だった。
何がいいと言えば、松嶋菜々子の復活が何よりも嬉しい。歳を食っても彼女のあの美しさの中に、バルザックが追い求める”異質の美”を探り当てた様な気がした。”知られざる傑作”がオランダ調の美ならば、彼女の持つそれは、水彩画の持つ異質なまでの繊細な美である。
それに加え、日本橋の美しい情景群には、翻弄されっぱなしだった。東京は世界一美しい優雅な街だなって、再認識させられた。”日本の美”は単なるプロパガンダではなく本物だったのだ。
日本の映画には、ハリウッドのド派手でリッチさがある筈もない。韓国映画の勢いと躍動感がある訳でもない。ヨーロッパ映画の異質と多様性がある訳でもない。
日本の映画の大きな特質は、それが持つ異質な美と異質な程の繊細さにある。美にも深さや奥行きがあり、繊細さにも次元と優雅さがある。そういう諸々をこの映画から教えられた気がする。
タイタニックに、”人としての生き方を教えられた”と興奮する大多数の日本人には悪いが、感動の質と次元が違いすぎた。キャメロンの旦那には悪いが、映画がもたらす感動のあり方を、まざまざと見せつけられた気がした。