象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

不透明な日米同盟と不発に終わった日米首脳”怪談”〜巨額な対米投資と非現実な停戦協議のその先に

 犯罪者のハゲ爺に、ここまでペコペコせなあかんのか?とのいうが正直な印象である。
 ”搾取と買収”のアメリカに151兆円投資するくらいなら、インドやオーストラリアに投資した方がと思わなくもないが、台湾有事を考えると”アメリカ一択”になるのかな?と思わなくもない。
 一方で、日米同盟に莫大な軍事費用が嵩む事を考えると、今の”老いた”アメリカに”世界一の投資をする”事は、その額面通り有効に働くのだろうか?私には、どうも嫌な気がする。
 だが、某専門家の意見では”防衛支出の拡大は、米国の財政負担を軽減し、日本の防衛産業の振興や極東地域における日本の存在感を高める事になる”とあるが、明らかに米国寄りの論理だろう。
 また、世界最大の債務国アメリカに最大の資金を供給するのは世界最大の債権国日本だから、米国と日本の国益は密に繋がってる事は否定できない。かと言って、米国主導のままでは日本の将来は暗澹たるものだ。
 対米投資を対米貿易黒字との駆け引きに使うのならともかく、首脳会談の手土産としてみれば大きな疑問も残る。トランプの台湾有事に対する対処の仕方如何では、大きな誤算が生じる可能性も否定できないし、少なくともトランプに貢ぐお金ではない。

 日テレの某番組では、首脳会談の共同会見で、石破首相が”私から、対米投資額を1兆ドル(151兆円)という未だかつてない規模に引き上げたい”と述べた事を伝えていた。
 ”現在、日本から米国への投資は120兆円だから、3割近く増えるが、実現出来るとお考えでしょうか”とキャスターが問う。
 これに対し、石破は”それは出来るでしょう。勿論、民間がやる事ですが・・”と前置きした上で、”バイデン政権の時には投資を控えてた企業の判断としてある訳で・・トランプ政権になったので投資をドンとやるぞって話を聞いてる。根拠のない事ではない”と語った。 
 これには、ネット上で様々な反応が見られ、”民間がやる事を勝手に約束したって事か?”とか”無責任も甚だしいが、ヤバいけど言っちゃった”とか”民間がやるなら石破は関係ない・・でも言い方がね”との呆れ声が殺到した(デイリースポーツ)。


肥大化する対米投資とUSスチール問題

 これに対し、某専門家は”民間がやる投資を政府として約束した事になる。第1に、民間が行う投資を<自分の手柄>として米国と約束したと考えられ、第2に、民間の投資を<政府が強要する>事を約束したとも受け取れる”と2つの問題が混在する事に警鐘を鳴らす。
 しかし、”国策に売り無し”の格言通り、巨額の民間投資は国策が後押しする事で、有望な投資が長期に渡る可能性がなくはない。但し、現在の”老いた”米国が衰退の途上にあるとすれば、”有望な投資”の保証はどこにもない。
 従って、日米関係の深化と相互依存がもたらす巨額の投資は、トランプの一連の政策と同じく”不確実”で”予測不能”である様に思えてくる。

 一方で、日本製鉄のUSスチール買収が投資に変更になったのも、様々な憶測がなされてるが、事前協議して日鉄が持ってきた案を石破がトランプに伝えただけとの声もある。
 また、この手の発表は石破内閣が事前に主な企業に対米投資計画をヒアリングして積み上げたもので、USSも日鉄と大方話しはついてる筈だ。が、石破がトランプを前にして言うべき事でもない。
 ただ、米政府側の本音で言えば、買収阻止は”安全保障上の理由”となろうが、もしそうであれば、USSへの投資は見直す必要がある。つまり、トランプ政権側の都合で踊らされてる気もしなくはない。

 結局は”金さえ出せば悪い事はしない”って事だろう。事実、今回の日米会談では肝心の日米地位協定の話はなく、単に対米投資”1兆ドル”との手土産を持ってトランプのご機嫌を取っただけで、自動車や鉄鋼などの関税免除の言質もらった訳でも、農産物の輸入関税現状維持の約束もとった訳でもない。
 従って、前回同様に、”手土産を包んだだけで何も成果はない”というのが、等身大の評価であろう。
 とは言っても、政府主導での戦略作りや投資も必要である。例えば、国内製薬企業単独では資金力・開発力が不足し、画期的な新薬を作れない状況が続いたし、コロナワクチンで失速したのがいい例である。事実、日本の医療体制は機器・医薬とも海外企業に支えられてるのが現状で、失墜した日本の半導体産業の構図によく似ている。
 故に、政府による投資戦略は極めて重要だが、今回の石破首相の口約束は、前回の安倍と同様に、トランプへのご機嫌伺いに終わる可能性も高い。

 今回の日米首脳会談では、まずトランプが”石破首相は安倍夫人から素晴らしい人だと聞いてる”と切り出せば、”銃撃された写真は歴史的な写真だ”と石破は切り返し、互いに褒め合う事で幕を開けた。だが、外交辞令にしては、幼稚過ぎて物足りなくも映る。
 更に、”日本の対米投資額は世界一だ”と誇らしげに語りかける石破に対し、トランプは”投資は素晴らしいが、貿易赤字は解消すべきだ”と釘をを刺すが、石破はいすゞ(自動車)が新たにアメリカで工場を作る”と慌てて本音で切り返した。
 本来、こうしたやり取りは首脳同士の会談では非公開が常識だが、トランプはお構いなしに会話を続け、見守るメディアの質問に応える形で”(日本への関税は)選択肢としてある”などと本心を含めた発言まで飛び出した。

 石破にとって”一世一代の大勝負”となったトランプとの初の会談だったが、国内だけでなく国際的にも高い評価を獲得したとされる。だが、”元々の期待値が低かった”とのキツい指摘もある。
 最大の焦点だった日鉄のUSスチール買収問題についても”投資するが買収はしない”との苦し紛れの妥協案を示したが、言われてる様な”円満決着”には程遠く、結局、日鉄側は苦しい対応を迫られたとの声もある。

 確かに、トランプの得意とする”関税”での駆け引きはこれからで、”新たな日米黄金時代”の裏側には、日本の巨額な対米貿易黒字解消策や財政負担など、難題は山積みで、その前途には”なお多くの落とし穴が潜んでいる”との官邸筋の声がある(東洋経済)。


トランプの戦争終結宣言は空砲に・・

 トランプが豪語してた”24時間以内に戦争を終結させる”宣言は呆気なく不発に終わった。
 トランプ氏は12日、プーチン氏との電話協議で、戦争終結の実現に”かなりの可能性がある”とした一方で、ウクライナNATOに加盟するのは”現実的ではない”とした。また、ウクライナがクリミアをロシアに併合された2014年以前の国境に戻る”可能性は低い”とも述べた。
 一方、ゼレンスキー大統領は18日にサウジで行われる米露双方の高官の会合についてウクライナは参加しない。何も知らされてなかったし、ウクライナ抜きの如何なる合意も認めない”と強く反発。

 大方予想された事ではあるが、これがトランプ政権の限界である。世界の歴史に名を残す筈の”一世一代の大勝負”だった終結交渉も、蓋を開けたらこのザマだ。
 事実、ルビオ国務長官(米)は”この戦争は長い間続き、難しく複雑だ”と述べ、ラブロフ外相(露)は”掌握したウクライナの領土を交渉で譲渡する考えはないし、交渉にヨーロッパが参加する意味はない”と釘を刺した。
 また、ゼレンスキーは鉱物資源の権益を巡るトランプとの取引に関連し、”覚え書きには何らかの形で安全の保証が反映されるべきで、我々は単なる原料の供給者ではない”と反論し、トランプが企んてた終戦の約束と鉱物資源との取引も不発に終わった。

 一方、ウクライナ国内ではウクライナ抜きの交渉は間違いなく不当なものとなるだろうし、受け入れられない”と懸念の声が多い。
 また、欧州諸国も今回のトランプ政権の一方的な停戦協議を一蹴。特に、ショルツ首相(独)は”独裁的な和平を拒否する”とし、ピストリウス国防相(独)は”米政府が既に露政府に譲歩している”と非難した。
 ただ、プーチンからすれば”現状維持”で戦争が終結すれば、丸3年に渡る経済制裁により大きく疲弊したロシア経済を何とか立て直す事も不可能では無い筈だ。つまり、米露双方の都合だけで終戦に漕ぎつければ、両大国とも勝者となる。但しそうなれば、EUウクライナも猛反発し、ロシアに対して徹底したゲリラ戦を挑み、ロシア=ウクライナ戦争は更に泥沼化するだろう。

 日本の某専門家は、経済に困窮したロシアは既に”張り子のトラだ”とし、プーチン敗北のシナリオを予見してる様だが、プーチンの”力の外交”という野望の本質を知れば、それが楽観過ぎるのは明らかだろう。つまり、プーチンの野望はトランプの欲望よりも遥かに根が深く、肝が座ってるのだ。
 そのプーチンはトランプをモスクワに招待するらしいが、1対1の会談になれば、プーチンの核の脅しに老トランプの心臓は押し潰され、得意の駆け引きはどこかに吹っ飛ぶだろう。
 勿論、米国政府も共和党もそんな老トランプを最初からアテにしてる訳でもなく、(最悪に備え)ハゲ爺に代わる、いやプーチンに対抗できる若い極右の交代要員を用意してるかもしれない。
 つまり、トランプという人間の中核をなすレガシー(名声)もディール(取引)も、所詮は”張り子のトラ”だったのだろうし、強欲な老人ほどアテにならないものはない。
 

最後に

 会談後、石破は得意満面で帰国し、疲れも見せずに各主要メディアのインタビューに応え、トランプとの”相性のよさ”や”日米同盟の更なる強化・発展”をアピールしている。
 一方、トランプは”関税”を軸とする外交方針を打ち出し、世界を困惑させ続けている。
 全く、このハゲ爺の強気と痩せ我慢がどこまで続くのか?USスチール買収についても”日鉄はUSSの株式の過半数保有しない”との意志を明確にした。
 一方で、カナダ併合やグリーンランド割譲やパナマ運河奪還など誤解を招く様な、強引ともとれるトランプの発言だが、(老いたアメリカを救う為の)強かな合理的戦略上の駆け引きではないか?との声もある。

 ともあれ、日米首脳会談の第1ラウンドは、10-10の引き分けという事で終わったが、”崖っ淵”という意味では、石破もトランプも同じだろう。ただ、流石のトランプも8年前と比べると、明らかに老いが目立つ様にも思える。
 現在のアメリカを”老いるトランプ”帝国と揶揄する声も多いが、大半は当たってる様な気もする。事実、”終結宣言”が大外れした事で、トランプの老いが露呈した訳だが、これも大方予見された事でもある。
 一方で、どこまでトランプが腹を括ってるかが試される米露会談だが、(日米会談とは異なり)陳腐な外交辞令抜きの鬼気迫る展開が予想されるし、最悪は米露開戦も視野に入れる必要があるだろう。私的には今のアメリカにそこまでの余裕と体力はない様に思える。

 トランプと敵対する国の指導者は(日本も含め)”老いるアメリカ”の弱点を根気よく掘り出して、効率よく突くべきだろうか。
 つまり、アメリカの分断は新たな世界秩序の始まりかも知れない。
 一方で、これを好機と見るべきか?危機と捉えるべきか?水面下の静かなる戦いも今まさに始まったばかりである。

 因みに、NNNと読売新聞が今月14~16日に行った世論調査では、日米首脳会談を”評価する”が51%、”評価しない”は38%で、石破首相がトランプ氏と信頼関係を築く事ができるかには”思わない”が61%、”思う”は28%だった。一方、石破内閣を支持するかでは”支持する”が39%で前回1月調査とほぼ同じだった。
 これを見ても判る様に、我ら国民はメディアが浮かれる程に、彼らを評価していない事が伺える。
 以上、日米双方の裏事情を考えると(首脳会談とは言え)非常に危うくも脆い”怪談”の様にも映ったのは言うまでもない。