象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

”腐ってもロシア”の悲しい未来予想図〜ロシアの分裂と最悪のシナリオ


 今回のロシア=ウクライナ戦争でプーチン政権が敗北すれば、”ロシアは解体され、41の新しい国家に分裂する”と、ロシアの元下院議員で、ウクライナ側に外国人義勇兵として参加する「自由ロシア軍」幹部のイリヤ・ポノマリョフ氏(47)が来日し、夕刊フジの取材で語った。
 更に、プーチンは派閥の衝突を起こす事で、自分の政権を保ってきた。あらゆる派閥は互いに争い、プーチンはその上に立って裁く立場だ。ただ、プーチンを守りたがるエリート層はいなくなりつつある”と分析する。
 一方で、「ロシア後の自由な民族」フォーラムでは、北方領土問題にも言及し、”占領された北方領土問題の即時解決を求める”との文言も加えられた(夕刊フジ)。

 あくまで、ロシアが勝手に自滅し、今以上にウクライナ軍が辛抱強く優位に戦いを進め、無事に勝利したらの話だが、事はそう単純なのだろうか?
 ロシア分裂後のシナリオだが、41の共和国や民主国家に(仲良くだが)分裂したとしても、プーチンの様な独裁者が現れないとも限らない。つまり、敗戦後の経済やインフラ処理や(ブタペスト覚書の様な)不平等な核配備問題をめぐり、41の国が争う事も大いに考えられる。
 つまり、41の国に分裂した場合、これらの国々を支え、統制できる経済力を持つ大国は(台湾有事を控え、経済的に困窮しつつあるアメリカを除き)中国しかいない(多分)。故に、多くの分裂した国々は目先の資金に盲目になり、中国の軍門に下るのだろうか。


核分散という最悪のシナリオ

 一部のコメントにもある様に、ロシアがボコボコに瓦解すれば、権力争いや民族紛争、それにテロや小競り合いがロシア内外で頻発する。更に、(戦争で多くの犠牲を払った)ウクライナが第二のロシアにならないとは言い切れないし、多くの戦争難民や避難民が日本に押し寄せる事も考えられる。
 更に、経済制裁で困窮するロシア経済を支え続けてきた中国が大人しく静観する筈もないし、かつての経済力と(プーチンという)共通の敵を失ったヨーロッパは足並みが乱れ、掣肘合戦を繰り広げないとも限らない。

 一方でそれ以上に最悪なシナリオが、核兵器の拡散”と(ワグネルの様な)軍閥の跋扈である。今回はプーチンが上手く抑え込んだから良かったものの、核や軍閥がロシア中に拡散したらと思うとゾッとする。
 プーチンが敗北し、ロシアが分裂して、複数の自治共和国が核を巡り争い始めたら、西側はどう対応するのか。それらの国々は親米欧ではなく、親中国になる可能性がある。もしそうなれば、西側は今以上に、こうした混乱の事態をコントロールできなくなる。
 言い換えれば、ロシア分裂のシナリオは中国が望むシナリオかもしれない。
 以下、「プーチン体制が”崩壊”した後・・・専門家が出した”一つのシナリオ”」を参考にまとめます。

 一方で、ある専門家によれば、”ロシアの分裂は殆どあり得ない”という。というのも、西側がロシア崩壊を仄めかす程に、ロシアの民族主義者らにはプーチンの言説がアピールするからだ。
 プーチンの独裁体制が崩壊するのはいいとして、その後のロシアが混沌としたミニ独裁国家の集合体になったら、欧州と世界の平和と安定にとって、結局は(イスラミックステーツの様に)危険な地域に舞い戻ってしまう。
 ただ、米シンクタンクは、今回の戦争では”ロシアもウクライナも完全勝利はありえない”との報告書を発表した。ロシアはウクライナの政権を打倒し、属国にするのに失敗した。一方、ウクライナもロシア政権を打倒するには、あまりに力不足であるからだ。
 更に報告書では、クリミア半島などの奪回を棚上げしてでも、停戦協議を目指すべきだ”と提言する。

 だが、もしロシアの政権が内側から崩壊するのであれば、ウクライナが直接手を下さなくても、西側の封じ込め政策により、ロシアが内部崩壊する可能性がある。故に、戦争を継続するロジックは再び蘇る。但し、その為には相手が自ら倒れるまで、ウクライナはひたすら消耗戦を戦う必要に晒される。
 故に、ロシアの内部崩壊を想定した場合でも、問題は巡り巡ってウクライナの政権と国民が、終りが見えない消耗戦に耐えられるかどうか”に帰着する。
 事実、ウクライナの南部の反転攻勢もロシア軍の地雷原と要塞化した防衛線に封じこまれ、多くの犠牲を出し、前進を拒まれている。

 太平洋評議会が今年1月、世界の専門家167人を対象に実施したアンケート調査では、”今後10年以内に崩壊する国家”のトップはロシア(21%)で、第2位のアフガニスタン(10%)よりも高かった。
 かつて、冷戦期アメリカの外交官ジョージ・ケナンが1946年に有名な”長い電報”で提唱した封じ込め政策は、半世紀後の1991年にソ連崩壊となって結実した。崩壊を導いたのはソ連自身の内部分裂だったが、封じ込め政策の有効性は歴史的にも実証済みである。
 今回の封じ込めもソ連と同じ様に、ロシアの内部分裂を誘うのだろうか?
 それは米欧協力の他に、ロシア支援に動いている中国封じ込め政策の有効性にもかかっている。更にはグローバルサウスと呼ばれる途上国や新興国への対処もある。
 つまり、(封じ込め)政策の方程式が半世紀前よりも遥かに複雑になっているのは明白である。
 以上、現代ビジネスからでした。


最後に〜負けても腐ってもロシア

 現在のロシアは21の共和国と195民族から構成される連邦国家とされる。但し、クリミア、ドネツク、ルガンスクとプーチンが強引にロシアに帰属化した州を除く。
 モスクワから東に800㎞ほどの場所に位置するタタールスタン共和国は(最終的には撤回したが)ソ連崩壊時に一度は独立を宣言。世界有数のガス田を有し、戦争後はタタール人の間で独立を求める声が高まっている。
 また、タタールスタン共和国に隣接するバシコルトスタン共和国も地下資源に恵まれ、主要民族であるバシキール人を中心に独立志向が高く、ウクライナ側の義勇兵として身を投じる若者も多い。
 他にもカスピ海に面したダゲスタン共和国ウラル山脈の北西部にあるコミ共和国、それにモンゴルと国境を接するトゥヴァ共和国や日本の8.2倍の広大な面積を持つ東シベリアのサハ共和国もロシアの体制が揺らいだ場合、独立する可能性があると欧米の情報機関なども指摘している。
 更に、プーチンに忠誠を誓うカディロフ氏が首長を務めるチェチェン共和国も独立すると予測する専門家も少なくない。

 故に、冒頭で予想された様に、もし41カ国に分裂すつ様な事があれば、国境や資源などを巡り、分離国同士で新たな戦争なんて展開もありうる。
 現在、紛争状態にある中央アジアアゼルバイジャンアルメニアソ連からの独立国で、90年のユーゴ紛争の様な状態に陥る事もゼロではない。また、極東を含むシベリア地域では分離・独立の混乱に乗じ、中国が介入するのは容易に想像できる。
 つまり、核兵器の拡散以外にも、ロシア解体には、共和国同士の分離・紛争という世界情勢の更なる混乱という新たなリスクがある。
 ”負けても腐ってもロシア”という過去の苦い歴史を見ても.先が全く見えない暗い未来予想図が待ち構えているのである。