象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

井上が大場に勝てないその理由・・・


 井上が強いのか?相手が弱いのか?

 王者と同級1位の対戦にしては、力の差があり過ぎるカードである。昔で言えば、まるで東洋太平洋と日本ランカーの前座の試合を見てるようであった。
 だが、肝心の試合は相手のカルデナスが大化けしてくれた事で、ソコソコは盛り上がった気もする。それでも、この次元のファイトがラスベガスのメインを張るとは、ボクシングの聖地も地に堕ちたもんである。

 井上尚弥の試合は過去にダイジェスト版を見ただけで、試合を通しては見た事はなく、生で見ようと思ったのは今回が不思議と初めてだった。
 正直、殆ど期待はしてなかったが、オッズで圧倒的に不利な”噛ませ犬”ボクサーが大化けする事もあるので、それだけが目的だった。
 試合結果を振り返る程のファイトでもなかったし、井上が試合後に”僕が殴り合いが好きだと言う事がわかって頂けたかと・・”と語った様な殴り合いですらなかった。

 事実、1Rを見ただけで勝負は終わっていた。ただ残念だったのは、昨今のボクシング界にはトップコンテンダーでも噛ませ犬が存在する事だった。
 かつて、同級1位が最強の挑戦者と言われた昭和の時代では考えられなかった事だが、それでも見続けたのは井上尚弥”大場政夫には勝てない”事を再確認する為でもあった。
 2Rに入ると、見た目以上に貧相な挑戦者だったが、計算され尽くした左フックを王者に見舞うと、もろに浴びた井上は腰をついてダウン。
 昨年5月、ネリ戦以来の生涯2度目となるダウンだったが、まともに食らったという点では年齢的な限界を感じなくもない。

 3Rでも、色気づいた挑戦者の強引な左に苦しめられたが、4Rは井上が右カウンターで返す。
 5Rはほぼ互角で、6Rは井上のボディー攻撃が挑戦者を苦しめ、7Rには防戦一方のカルデナスに左右のパワーブローを浴びせ、ダウンを奪い返す。
 そして8R、井上が一気に畳み掛けると相手は腰を落とし、レフェリーは戦意喪失(戦闘不能)とみなしてTKOを宣告。
 挑戦者は”まだやれる”と食い下がったが、後の祭りである。

 タラレバだが、8Rの井上の猛攻をカルデナスが何とか切り抜けてたら、この試合はもつれたかもしれない。事実、私の採点では井上が試合全体を圧倒してたものの、僅かに1P差だっただけに、最後まで見たかった気もする。
 レフェリーが試合を止めた事で、噛ませ犬が大化けする瞬間を見る事は出来なかったが、井上の衰えをはっきりと確認できたファイトでもあった。
 ただ、カルデナスが無敵とされる王者を果敢に倒そうとしたファイトをしたのは、一定の評価を与える事が出来るが、全てにおいて力の差がありすぎた。

 井上尚弥選手と彼のファンには悪いが、「大場vs井上」でも書いた様に、これじゃ大場政夫には勝てっこない。それだけは言える日本ボクシング史上最強と噂される怪物のファイトでもあった。
 それでも、世界戦通算KO勝利で世界ヘビー級王者のジョールイスを上回り、史上最多の23とした。更に、4度目の4団体王座同時防衛に成功しサウルアルバレス史上最多記録に並んだ。
 但し、記録という意味では、やはり井上は怪物なのだろう。