象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

読書

経済効果のウソとムダ〜お金の向こうに何がある?

新しい紙幣が2024年7月に発行される。新しいデザインは、1万円札は実業家の渋沢栄一で、5千円札は女性の地位向上に貢献した津田梅子、千円札は生物学者の北里柴三郎になる。 この新紙幣発行による経済効果は1.6兆円と試算されている。 実は、この”経済効果”とい…

「戦争する脳」〜戦争をしたがる独裁者の脳とは

「自殺する脳」でも書いたが、自殺をするのは人ではなく脳である。 同じ様に、戦争をするのも人ではなく脳である。厳密に言えば、プーチンやネタニヤフみたいな独裁者の脳である。 ”<戦争は人類最大の狂気>というが・・・精神的な病が日常と繋がってる様に、戦場と…

探偵小説の巨匠が奏でる「潔白の法則」〜レヴュー編

”本書はおそらくリンカーン弁護士のシリーズ中ベストの作品となるだろう。ベストでなくても最も印象深い作品であるのは間違いない”との評価に思わず手が伸びた。 バリー・ランセット著の「ジャパンタウン」でレイモンド・チャンドラー以来の探偵ミステリーの虜に…

「博士を殺した数式」に見る、殺人予測方程式と数学的未来予想図

”数式”というタイトルと、エドガー賞(最優秀新人賞)ノミネートという言葉に轢かれた私も馬鹿だったが、ミステリーの質や重厚感はノミネートに恥じないレベルだっただけに、空っぽな幕切れ?には実に残念である。 ”大人になって初めて算数と数学の違いを理解した…

「菊と刀」と”恥と罪”〜義理と人情に見る日米文化比較

ロバート・ホワイティングが日本野球を通じて日米の文化比較をユニークな形で記した「菊とバット」(2002)のタイトルは、罪と罰のあり方を通して日米文化比較を論じたルース・ベネディクト氏の名著「菊と刀」(1946)をもじった事は有名な逸話である。 2人の大きな違い…

本を読まない若者と箱モノ化する図書館〜高知県とTSUTAYA図書館のケース

あるフォロワーの記事で知ったが、”21歳の6割が全く本を読まない”事が文科省の2022年の調査で明らかになったという。 若者も含め、日本人の活字離れはSNSの普及による世界的な傾向とも言えなくもない。が故に、取り立て驚く程の事でもない。 それ以上に、”増える…

いま、アジアが注目すべきミステリー〜「トーキョーキル」

私立探偵ジム・ブロディーの第二弾という事で、前述した「ジャパンタウン」の凄みと悍ましさを期待したが、プロットが複雑すぎなせいか、読んでて少し食傷気味にも思えた。 とはいっても、バリー・ランセットらしさは存分に発揮され、今回の作品は背筋が凍りそうな恐…

読む者を選ぶ傑作〜「ジャパンタウン」が描く異世界の探偵ミステリー

”クズを入力すると、クズが出力される” この言葉は、主人公ジム・ブロディの親友でロス市警の警部補であるフランク・レンナの言葉である。 この言葉が何を意味するか?は、576頁にも及ぶ分厚いハードボイルド、いや超巨編ミステリーを読んで理解して頂く他ない。 …

天才の不運(更新)〜「OUTLIERS」”成功する天才の法則”

才能があるから成功するのか?成功したから才能があったのか? 人よりも努力すれば成功するのか?努力したから成功できたのか? 成功の法則とは異常なまでに抽象的だ。エジソンが言う様に、”1%の閃きがなければ99%の努力は無に終わる”のだろうか。 私が思うに…

「暴力の人類史」〜ユダヤ人が見たアメリカに都合のいい”暴力史”

お気に入りのフォロワーが紹介する本=「世界の危険思想」(丸山ゴンザレス著)が、とても興味深く映った。 結局、奴らの頭の中は単純だ。金がほしいから人を殺すし、儲ける為になら何でもする。つまり、色々考えてたら人など殺せない。 確かに・・言われてみればそ…

こんな本が読みたかった〜「現代奇譚集”エニグマをひらいて”」と「脳に刻まれたモラルの起源」

私がお気に入りのフォロワーさんが紹介する本は、全てが秀作や良書ばかりである。 決して流行本でもなく、誰もが知ってる様なポピュラーな著書でもないが、読んでて不思議と吸い込まれる。 そこで今日は、”むぎわら日記”さんが紹介してくれた2冊の本について書く…

本を読まない人へ〜ブログが絵日記になる悲しい時代

最近、不思議と気になりだしたのが、ブログの”絵日記化”現象である。ペットやグルメや旅自慢はブログの王道と化し、ここまで常習化すると流石にウンザリである。 権力の軍門に下ったメディアやジャーナリズムも深刻だが、昨今のブログもここまで軽薄になると、SNS…

松本清張と「帝銀事件」〜人気小説家の推理は正しかったのか?

帝銀事件が起きたのは、連合国軍の占領下にあった1948年。帝国銀行・椎名町支店に厚生省技官を名乗る男が現れ、”近くで集団赤痢が発生したので予防薬を飲んで欲しい”と銀行員らに液体を飲ませ12人を殺害。逮捕され、死刑判決を受けた画家・平沢貞通は無実を訴え続…

脱炭素のウソと真実〜税金を丸ごとドブに捨てた温暖化問題

もし彼女が以下の様に叫んでくれてたら、温暖化騒動が”大金をドブに捨てた”だけの空騒ぎに思えたかもしれない。 ”日本では脱炭素政策に2005年から年間3~5兆円使っています。今のままだと2030年まで使い続け、総額は100兆円を超すでしょう。 出所は電気代の上…

「サンクチュアリ」〜重厚だが微妙に空回りしたフォークナーの力作

ミシシッピー州ジェファスンの町はずれで、車を大木に突っこんでしまった女子大生テンプルと男友達は、助けを求めて廃屋に立ち寄る。そこは性的不能な男ポパイを首領に、酒の密造屋一味の隠れ家であった。 女子大生の凌辱事件を発端に、異常な殺人事件となって醜…

1%の閃きは99%の努力にも勝る〜引き算いや割り算的な生き方のススメ

”天才とは1%の閃きと99%の努力である” これは発明王エジソンの有名な言葉である。しかし当のエジソンは、”私は<1%の閃きがなければ99%の努力は無駄になる>と言ったのだ。なのに世間は勝手に私を<努力の人>と美化し、努力の重要性だけを成功の秘訣と勘違いさ…

エゴイズムと自死〜「こころ」(夏目漱石)に思う、空疎な議論とパラドクス

高校の時に読んだ記憶があるが、内容は殆ど覚えていない。「門」や「それから」の記憶が強すぎたせいもあろうが、印象に薄い小説に思えた。それ以上に、二人も自殺者を出す必要もなかろうと、幼稚で些細な憤りもあった。 それに、”恋愛とスケベは動物的本能で行動すべ…

”一族”の呪いと共に生きる〜「8月の光」に見る、血脈という悲しい連環

ウィリアム・フォークナーの「8月の光」は、ずっと以前に読んだ記憶があるが、その内容は殆ど覚えてはいない。というのも、この作品には3人の主人公が登場するが、誰もが暗くて野暮ったく思えて、記憶に残るような存在には思えなかったのだ。 確かに、フォークナーの…

「テロルの決算」とテロリズム

今回の惨劇を沢木耕太郎さん風に言えば、”67歳のかつては歴代最長の政権を築いた元総理大臣が、41歳の若きテロリストの激しい体当たりを受ける。男の手には自作した散弾銃が握られていた・・・”となるのだろうか。 「テロルの決算」(1978)とは、1960年に社会党委…

無謀な探検か、高貴な知の探求か〜「世界最悪の旅」の果てにあるもの

犬ぞりを使い、ベアドモア氷河を避け、南極点一番乗りを果たした栄光のアムンゼン。 一方、馬ゾリで出発が遅れ、あくまでも人力ソリと天体観測や生物調査に拘り、二番手ながらも南極点に到達したものの、帰路途中で力尽きた悲運のスコット隊。 皮肉にも彼らが命を…

私をどうか褒めないで!〜アドラーの心理学と”いい子症候群”

久しぶりに図書館へ行ったら、「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」という本のタイトルが目に飛び込んだ。 ”ほめられたくないし、目立ちたくない、ただ埋もれていたい・・・。今、こんな若者が激増している”そうだ。 褒められた事なんて殆ど記憶にない私からすれ…

Wi-Fiを解約してよかった?〜捨てる生き方と「捨てない生き方」

Wi-Fiを解約して4ヶ月が経った。 正直、少しは不自由するかなと思いきや、予想に反して殆ど不便する事はない。 毎月4500円程のWi-Fi費(Sonet3年ギガ放題)がゼロになったのだから、これほどのコスト削減もない。 それに、スマホだけで(PCはなくても)日常生活では…

人が人を殺すという事〜人はそんなに簡単に人を殺せるのか?

あるフォロワーの記事に、「戦争における”人殺し”の心理学」(デーヴ・グロスマン)の紹介があった。 私は、この人の記事を読むのが日課である。私の為だけにある様な事を書いてくれる。 今回の記事も、まさに目からウロコであった。 なぜ人は戦争をするの?って、人…

プーチンが燃え尽きるとき〜「象の消滅」と狂人の消滅

「象の消滅」という村上春樹の短編小説がある。ハルキストでなくても、有名な短編なのであらすじくらいは知ってる人も多いだろう。 ある日、象が突然消えた。 メディアは”象が脱走した”と大騒ぎするが、脱走でない事は明らかだった。 象の足には鉄の足枷がかけら…

妬みは憎しみよりも更に強い〜なぜ人は他人を攻撃するのか?

あるフォロワーの記事で「他人を攻撃せずにはいられない人」(片田珠美著、PHP)が紹介されていた。 人類はいや、ホモサピエンスは基本的には”攻撃的”に出来てると思う。いや、どんないい人も少なからず攻撃的に出来てると思う。いいねを多くもらう為にアクセ数を稼…

弱者こそが進化を支える〜個性と多様性こそが生き残る武器となる

”進化に成功したのは実は強い生き物ではなく、オンリー1になれる場所を見つけた(誰よりも)弱い生き物でした”(Amazon) 勝者は戦い方を変えないし、変えない方がいい。変わる事は負ける事に繋がり、劇的な変化は常に敗者によってもたらされてきた。 つまりこの本、…

いい人は悪い人〜いい人の呪いと脅迫から逃れる為に

散弾銃を持った男が医師を人質に自宅に立てこもった。その結果は誰もが知る通り、最悪の結果となる。 一人で母を介護する男は、本当は”イイ人”だったかもしれない。でも、殺人は殺人である。それもお世話になり続けていた医者を(それも前もって用意してた)散弾…

「土葬の村」〜なぜ村民たちは”土葬”に拘ったのか?

”四十九日法要の朝、親族はめいめい鍬を持ち、埋葬された墓の土を掘り返していくんです。掘り進むうちに思わぬ白骨が出てくる。目当てのお棺の主より以前に埋葬されたホトケの遺骨が2体、3体、・・・。頭蓋骨はそっと取り出し、地面に並べ置いたものです” 土葬で…

「老いなき世界」は本当か?それともインチキか?〜”長寿フェチ”にいま薦めたい一冊

もしアナタが信頼してる世界的権威のあるお医者さんから、”老いは病気である”といきなり言われたら? アナタはどう応えるだろうか? ”そういうアンタこそ、病気じゃないのか?”って言える人は、相当な現実主義者で頭のいい人かもしれない。 ”えええぇ〜本当なの…

「若者はみな悲しい」に見る、フィッツジェラルドの華麗なる短編集

久しぶりに、スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)を読んだ。 正直言うと、彼の長編はあまり好きではない。名前(Francis Scott Key Fitzgerald)と同様にクドすぎるのだ。しかし、短編に至ってはとてもユーモラスで奇抜で爽快で、そして愉快で楽しすぎる。 ど…