象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

映画&ドラマ

普通に面白い欧州サスペンス〜「ザチーム、ヨーロッパ大捜査線」(2018)

”シリアの至宝”とも言われ、権力を象徴する芸術品“イシュタルの庭”を巡り、ヨーロッパを震撼させる殺人事件が発生する。デンマーク警察を筆頭に、ドイツ警察、ベルギー情報機関らによる合同捜査チームが、数十億円の価値がある芸術品を狙う国際テロ組織と難民襲撃…

”悪魔祓い”が50年ぶりに復活〜「エクソシスト 信じる者」に見る、カルト信仰の限界とオカルトのリアル

正直、期待して見た映画でもなかった。 エクソシスト・シリーズのスピンオフ作品というイメージしかなかった。だが、いい意味で私の期待を裏切ってくれた作品でもあった。 ”信じる者”という邦題には少し首を傾げたが、原題は”The Exorcist: Believer”というから、…

中途に心が重くなるドラマ「絶叫」(2019)〜過ぎたフィクションは現実を超えるのか?

何気なくタイトルに惹かれて見たドラマだが、中途に心が重くなった。 多分、現実にはありえそうにもない典型の社会派サスペンスだが、作られ感の度が過ぎて、逆に底知れぬ怖さすら覚えた。まさに、”フィクションが現実を超える”とはこの事だろうか。孤独死か?そ…

漫画ではシリアスな映画は描けない〜映画「藁の盾」(2014)に見る、限界と矛盾

漫画家・きうちかずひろが、実名(木内一裕)で小説デヴューを果たした作品の映画化とあってか、アクション映画としては見応えがあったものの、サスペンスとしては漫画の領域を完全には抜け出てはいなかった様に思えた。 総資産1000億とも噂される経済界の大物・蜷…

情けにも程と美学がある〜映画「われらが背きし者」

よく、”あの映画は原作よりツマらんかった”という声をしばし耳にする。 確かに、原作が良すぎれば、映画はそれには追いつけない。当然である。つまり、ドラマは現実離れした娯楽であり、小説は現実を超えたフィクションにある。 この作品も典型の”原作を超えられ…

権力と正義と告発の連鎖〜映画「SHE SAID」

この手のノンフィクション系の作品は、真実の暴露や事実の再構築という売り文句で、観る者の同情や感動を誘う傾向にある。 故に、大きくヒットするか?誰も相手にしないか?となるが、本作は大成功を収めたと言っていい。 勿論、それが悪い筈もない。正義の訴えは…

女優は見た目か?それとも中身か?〜 国威高揚と映画「フライト・キャプテン」

「インファナル・アフェア」(2003)で世界的にその名を知られるアンドリュー・ラウ監督による中国映画で、2018年に実際に起きた四川航空8633便不時着事故の映画化であるが、中国国内では何と450億円を超えるメガヒットとなった。 誘惑と脅しと虚構に弱い私だが、フラ…

アクション活劇も悪くない〜「イコライザー THE FINAL」に見る正義の殺戮

私が好きな俳優さんを3人挙げるとすれば、まずは「ショーシャンクの空に」で一躍スターダムにのしあがったティム・ロビンス(65歳)を筆頭に、「96時間」で渋いアクションヒーローを演じたリアム・ニールソン(72歳)と、「イコライザー」シリーズのデンゼル・ワシントン(69…

復讐と憎悪の先に・・〜ドラマ「ギバーテイカー」(2023)

原作では“妹が殺された刑事”の設定だったが、“娘が殺された元小学校教師”へと変更したお陰で、結構濃密でシリアスな展開となる。 「TOKYO VICE」では、”シリアスなドラマは日本人では描けない”と書いた。が、勿論、多重階層に展開する「BOSCH」と比べるべくもないが、…

老舗ホテルの価値と限界、そして凋落〜ドラマ「HOTEL -NEXT DOOR-」に見る、転売屋の憂鬱

こうしたドラマを見ると、老舗ホテルというものが伝統と誇りに支えられてはいるものの、如何に見てくれだけの存在であるかを教えられた気がする。 ”オモテナシ”という日本古来の文化がホテルの伝統を支えてる事自体は間違いないが、度が過ぎる接待も考えもので…

ジャーナリズムの魂を守れ〜「社長室の冬」と新聞革命

紙の新聞では、悪徳政治家の深く暗い闇は葬れない・・・ がしかし、新聞が紙からネットになってからも、ジャーナリズムの魂は抜き取られたままである。もっと言えば、昭和の時代に存在したジャーナリズムの正義は失われたままである。 つまり、「社長室の冬」の主人…

サスペンスは日本人には描けない?〜ドラマ「BOSCH」と「TOKYO VICE」の格の違い

映画「ゴジラ-1.0」では日本映画復活の兆しが見えてきたが、VFXを駆使したアニメやSFや怪獣映画では、世界のトップクラスである事を証明できた。 しかし、シリアスなサスペンスや濃密な人間ドラマ系では、まだまだ欧米とは距離がある様に思える。 映画「ZODIAC」(200…

野心が生んだ一族の”呪い”〜ドラマ「ケネディ家の人々」

殆ど期待せずに、偶々目にしたドラマだが政治モノとして見ても、結構面白い。 数々のスキャンダルと悲劇に見舞われたケネディ家の内幕を描いた「ケネディ家の人びと」(2011)だが、ドラマでは1960年の大統領選投票日前夜から63年11月22日にケネディ大統領がダラス…

自殺と特攻〜「永遠のゼロ」に見る、三浦春馬の鋭利な才能と希薄な運命

感動の映画と言うよりも、演技を超えた素の三浦春馬に憑かれたままだった。 ”何があってもどんな事があっても、生き続けろ” 終戦間近に特攻隊員として散った宮部久蔵(岡田准一)の言葉が、宮部の孫である佐伯健太郎を演じる三浦春馬の耳に届いてるかの様にも思え…

”善良な悪人”って存在するのだろうか〜映画「シャイロックの子供たち」

見てて思ったのは、サスペンスやミステリーと言うより、現実には”ありえない”純粋な喜劇である。 銀行自体が腹黒い金貸し、いや”金転がし”と見れば、映画で起こり得る事は現実にも起こりそうだが、展開としては、ある一支店で起こった100万円の現金紛失事件。そこ…

ゴジラに憑かれる大人達〜今”子供騙し”の映画が大受けする、そのワケ

「ゴジラ−1.0」(2023)がアマプラで配信され、「ゴジラ」(1984)、「ゴジラ2000」(1999)、「ゴジラ×モスラ×キングギドラ」(2001)と、立て続けにゴジラシリーズを見る。 単なる怪獣映画なのだが、不思議と嵌ってしまう。”子供騙し”と判っていながら、60過ぎてもゴジラに夢中な…

過疎地域の矛盾と地獄絵を描いたB級?ドラマ〜「鵜頭川村事件」(2022)

1シーズン6話のみのTVドラマだが、異常なまでに感情移入してしまい、一晩で一気に見終えてしまう。 レヴューは”リアリティがなさすぎる”とか”過疎地にしては若者が多すぎる”とか、散々だが、田舎に住んでる私から見れば、他人事に思えない程に悍しく感じた。 流石…

何故、ゴジラは海に沈まない?〜映画「ゴジラ-1.0」に見るCGのリアル

最初から最後まで、ゴジラのリアルに圧倒され続けた。 以下でも述べるが、自ら吐き出す放射熱線で自身の体にも大きなダメージを受ける所や、水中機雷で頬が吹っ飛ぶ場面なんかは、ゴジラファンでなくとも、そのリアルさに驚きと歓声が上がった事だろう。勿論、CGで…

イカサマか合法か、それとも贖罪(しょくざい)か復讐か〜映画「カード・カウンター」の行方

”キューバ危機”の連載を書こうと、映画「13デイズ」(2000)を見る為にアマプラを検索してたら、「カード・カウンター」(2023)という作品に引っかかる。 何か見覚えのある言葉だと思ったら、過去に「数学とギャンブル」のテーマで書いた記事で少し触れた事を思い出した。…

感動で真実は語れない〜映画「Winny」(2023)が描くプログラマーの執念と未来

こんな秀作が2作連続で見れて、AmazonPRIMEと契約してつくづく良かったと思う。 アマプラの”普通に”いい所は、新作や大作や人気作品が自由に見れる訳でもないし、動画の解像度も480pか、よくて720pが限度で、更に少し古い作品やB級モノが大き気もするが、秀作や良…

映画「大河への道」〜日本地図を作ったのは伊能忠敬か?高橋景保か?それとも江戸時代の和算なのか

伊能忠敬(1745-1818)は、今から200年以上も前の江戸時代に、日本全国を歩いて測量し、日本全国地図(大日本沿海輿地全図(伊能図))を完成させた人物である。 しかし厳密には、忠敬はこの地図が完成した3年前に亡くなっている。 では誰が完成させたのか? 「大河への…

結局、オンナは見た目が全て〜映画「市子」に思う

連日、大谷の奥さんがメディアやSNS上を賑わしているが、ごく普通の人で安心した。 韓国ソウルでの野球中継では、大谷を映す以上に新婚の奥さんにファインダーを合わせていた。流石のNHKも”これは現地製作の国際映像で放送しています”と必死の弁明を繰返す。 一…

「オッペンハイマー」は本当に真実を伝えたのか?〜映画は”絶望の淵”を切り取る鏡であるべきだ

アメリカのアカデミー賞が発表され、原爆開発を指揮した学者を題材にした「オッペンハイマー」が作品賞や監督賞など7部門を受賞した。 この作品を手がけたクリストファー・ノーラン監督は”絶望の形で終わってはいるが、現実の世界では核の脅威に対する答えが絶望…

他人を生きるという事〜映画「ある男」(2022)が教えてくれるもの

他人の人生を生きるって、どんな感じがするのだろう?他人の名前を名乗らなければ生きていけない人生って、どんなものなのだろう? そんな思いを漠然と抱きながら、この作品を只々見つめていた。確かに、幕切れを除いては、とても良く出来た作品だった。 夫と別れ…

見る者を選ぶ映画「ディール・ブレイク」と、アイスランド経済の奇跡の復活

2014年と古い映画だが、”本国初登場第一位!アイスランド・アカデミー賞4部門ノミネート”という言葉に煽られ、思わず見入ってしまう。 結論から先に言えば、見る者を裏切らない作品であるし、同時に見る者を選ぶ映画でもあった。 展開としては、伝説的な名警官を父…

戦争抑止力としての数学力

ドラマ「沈黙の艦隊」で教えられた事は、戦争をするにも平和を保つにも力がいるし、外交も力が必要な時代である・・・という事だ。 悔しいけど、ドラマの中に登場するベネット米大統領の言う通りではある。日本は”話し合いで平和的な解決を”と言うが、その話し合い…

「高い城の男」と「沈黙の艦隊」〜ドラマは原作を超えるのか

アマプラで「沈黙の艦隊」が配信された。 前々から期待してた漫画(原作、かわぐちかいじ)だっただけに、ドラマ化されたのはとても嬉しいではないか。 日米政府が極秘に建造した高性能原子力潜水艦”シーバット”に、極秘で乗り込んだ海江田四郎(大沢たかお)はシーバ…

映画「ロードインフェルノ」〜世直し老人か?それとも単なるサイコキラーか?

昨朝は年に2回のお宮掃除の日で、特に寒い時期の日曜日だから気分的にウツ状態になりかけていた。が、運良く20分ほどで終了となり、不思議とストレスは堪らなかった。 いつもなら、世話人が”やめまーす”と号令を掛けても、ザワザワと群がる村民の集いが暫くは収ま…

映画「アクリモニー〜辛辣な復讐」と境界性人格障害の間で

専門家の間では酷評の目立つ作品だが、私には刺々しくもよく出来た、シリアスなヒューマンサスペンスに映った。 多分、”境界性人格障害”の傾向が少しでもある人には、非常に興味深く映った?であろうか。事実、映画を見た直後に、判断テストをしたら、案の定その傾…

映画「ハード・ヒット」〜もはやハリウッドをも超えた韓国

「ナイル殺人事件」(2022年)をアマプラで見たが、期待がそこそこ大きかった分、大ハズレに終わる。結果として、劇場で見なくて正解だった。 酷評する気にもなれない程の凡作だが、原作であるアガサ・クリスティーの小説も、私には平凡なミステリーにしか映らないので…